横尾英典さんインタビュー

ラクロスのジュニアスクールの指導・運営やインドアラクロスの代表として活動されている横尾英典さん。日本のラクロス界の現状、インドアラクロスを立ち上げた経緯、これからのラクロスの可能性などについてお話を伺いました。ラクロスの話になると笑顔になる横尾さんを見て、ラクロスへの情熱を感じました。



―――ラクロスを選手として始められた理由を教えて下さい。

横尾 大学に入ってから、ラクロスという競技があることを知りました。私は、日本体育大学の出身なのですが、様々な部活に所属している学生が入る寮に入っていました。そこで仲良くなった友達がラクロス部に入ると言っていて、誘ってくれてラクロス部の見学に行ったのがきっかけですね。見学に行って、「えっ!こんなスポーツあるんだ!」と感じ、このスポーツは面白そうだと思って始めました。



―――ラクロスの魅力は何ですか?

横尾 語り尽くせない程の魅力がありますが、私は小学生から団体スポーツの球技系のスポーツをやってきていて、小学校は野球、中学校はバレーボール、高校はラグビーといった全部違った球技系の種目をやってきました。そのため、どのスポーツも「パスゲーム」といった感じで、パスをつないで、チームで共感しあえるスポーツに取り組んできたということもあって、パスのクオリティーで分かり合えるところが魅力の1つだと思います。「あいつ、俺のこと分かってパスくれているな」とか、「俺もお前のことが分かっているから、こういうパスができる」といったボールで気持ちが通じ合える共感性が楽しいところです。ラクロスはスティックを使った3次元でのボール競技のなので、繊細な部分もあり、難しい部分もあるので、その辺がうまくいった時に喜びがありますね。そのように、シュートよりもパスが好きなのもあって、ラクロススクールの方針にもパスを繋ぐことを入れています。スクールは、小学生向けのラクロススクールを運営、コーチをしています。

横尾英典



―――指導者として活動しようと考えたきっかけやインドアラクロスを立ち上げた動機を教えて下さい。

横尾 スクールは、教えることが好きということもあって、ラクロスはまだ競技人口も少ないので本格的なラクロススクールを運営することにチャレンジしてみたいと思いスタートしました。 インドアラクロスは、15年前くらいから防具を付けずに狭いスペースでできるラクロスは面白いのではないかと思っていました。ラクロスは、シュートのスピードが非常に速いスポーツなので、そのスタイルを実現するにはボール(硬さ・大きさ)がポイントになると思っていました。市販のボールを探していましたが、ちょうどいいボールがなく、色々なありがたいことにご縁があって、ボールを開発することができました。このボールであれば、かっこいいスタイル(フリースタイル)でラクロスが成立すると思って初めました。



―――ラクロスの競技人口を増やそうと思ってインドアラクロスをスタートしたというのもあるのでしょうか?

横尾 最初は、競技人口を広げるというところまではイメージできていなかったですね。ただ、単純に競技として成立できるのか?といった不安と期待が入り混じった感覚でしたね。不安の方が大きかったかもしれません。というのも、男子ラクロスを防具なしでやるというのは世界的に見ても考えられないという常識があったので、そこへのチャレンジでもありました。そのため、最初は参加してくれるかな?といった思いが多かったですね。



―――現在の業務形態はどのように活動されていますか?

横尾 ラクロススクール運営、インドアラクロス運営やインドアラクロスのボールの販売などをメインに活動しています。スクールは週3日実施しています。インドアラクロスは、今年からチーム制のリーグ戦を開始し、他の運営メンバーと共にスケジュール調整、会場の予約調整、ルール設定等をしています。新しい競技ですので、より楽しめるよう都度ルールをカスタマイズしながら進めています。インドアラクロスを普及するという目的もあるので、体験キャラバンを実施したりもしています。特に、力を入れているのはSNSの映像の編集をして配信をしています。スクールは、他コーチと共に運営を諸々行いますが、実際のコーチング、練習メニューの作成や大会への参加。またボール販売業務も行っています。これからですが、アパレルブランドを立ち上げたいと思っていて、諸々の調整も行っています。インドアラクロスを軸に色々と活動をしています。

横尾英典



―――指導者としての顔とインドアラクロスの代表としてご活動されていますが、やりがいを教えて下さい。

横尾 日本トップレベルの選手をはじめ、現在多くの方がこのインドアラクロスに参加してくれルようになりました。そういった方達が楽しんでくれている姿を見ることや「楽しい!」といったコメントを頂けた時はやりがいを感じますし、スクールの方は子供等の成長した姿が如実に見えるのでその成長に携われるのが楽しいですし、やりがいを感じます。



―――ラクロスの指導者、ラクロススクール、インドアラクロスの日本の現状は?

横尾 現状、ラクロスのコーチのみを仕事とするのは難しい状況だと思いますが、今後それを仕事とできる人が増えるよう貢献できたらと思います。お陰さまでジュニア(他のスクール・クラブさん含め)やインドアラクロスの参加者も増えてきており、今後更にポテンシャルの高いスポーツだと感じています。



―――お仕事されて上で大切にしていることや気をつけていることを教えて下さい。

横尾 実践できているわけではありませんが、自分のマインドのあり方として「感謝の心」を忘れないようにしています。元々、その部分の意識が薄い人間だと思っていて、そのことで沢山失敗もしてきました。子供たちのスクールの理念の中に、「感謝の心」を入れていて、反面教師というわけではありませんが、子供たちにはできることであれば、そういう気持ちを大切にして欲しいと思っています。これは、恩師というか尊敬する方からの助言でこのように思うようになりました。まだまだ、私自身も未熟なので言い聞かせながらやっています。



―――インドアラクロスのボール開発について教えて下さい。

横尾 知り合いにボールなどを作る関係の方がいまして、その人の繋がりで企業の方と調整しながら、色々試作して完成までこぎ着けました。開発には、半年以上をかけました。細かいところですと、ラクロスは一定の重さがないと楽しめない競技だと思っていますし、インドアラクロスは防具を付けないということでクッション性が大切です。インドアラクロスのボールは、フィールドラクロスのボールよりもひと回り大きいです。なぜかと言いますと、同じ重さであれば大きいボールの方がクッション性に優れています。ボールを大きくすることで重さを出しながら、クッション性があるボール作りができました。



―――インドアラクロスのボールは、フィールドラクロス初心者の練習にも向いているのではないかと感じましたが、いかがですか?

大学の体験用として、私たちのボールを使っている大学があります。その意味では、初心者用としても十分ご活用して頂けると思います。



―――インドアラクロスという競技によってアスリートに対してラクロスをより身近な競技になると思いますが、いかがですか?

横尾 コンセプトとしては、「フリースタイルラクロス」とか「ストリートラクロス」という言い方をしています。「ストリートラクロス」というは誰でも楽しみやすい競技にしたいという思いがありましたので、長期的な目標ではありますが、ゆくゆくは海外のあまり裕福ではない国々であっても楽しめるようになればいいと思っています。サッカーなどはボール一個で楽しめる競技だと思います。よく映像で、裸足でボールを蹴ってサッカーをしているところが出てくると思いますが、あの中から世界トップで活躍する選手が出るわけですよね。そのようなイメージで、防具などが買えないような人でも誰もが楽しめるようにボール開発の時はイメージして制作しました。ラクロスは構造的に、本当に面白いスポーツだと思いますので、そこまで届けられればいいですね。



―――今までの最高・興奮したエピソードを教えて下さい。

横尾 なかなか1つに絞りづらいですが、「インドアラクロスリーグ」を2016年に初めて立ち上げました。今年から、正式にチーム制のリーグを開始したと言いましたが、去年までの4年間は個人戦のリーグをやっていました。それは、全8節で個人の勝率でベスト5を決めるというシステムでやってきました。なぜかというと、最初からチームを作って参加してもらうのは、ハードルが高く難しいと思っていたので、個人参加であれば「個人フットサル※」のような形でできるのではないか考えました。それまで、最初の2年くらいはそこまで人が集まってもらえず、競技自体を継続することが難しいかなと思いましたが、2016年に個人戦リーグを打ち出してところ、20名くらい集まってくれました。その時は、涙が出るほど嬉しかったです。おかげさまで、今年は5チーム:約70名以上が参加してくれています。



※当日、有志が集まってチーム分けを行ってフットサルの試合をする

横尾英典



―――今後のラクロス界やスポーツ界に期待したいことやビジョンなどがありましたら、教えて下さい。

横尾 インドアラクロスのビンジョンは、かなり壮大な夢ですが「インドアラクロスの世界大会」をしたいというのが目標です。その意図は、世界大会を行える人数になっているということは、インドアラクロスの人口が増えているということになりますから、それくらい普及できるようにしたいと思っています。また、現在は公園などの景色の中にラクロスがあまりありませんが、「ストリートスポーツ」として、公園の景色の中にラクロスが入ってくるようにしたいと思います。カジュアルにラクロスが楽しめる環境になればいいなと。フィールドサッカーとフットサルのような関係で生涯ラクロスをできるようにしていきたいです。 確定ではありませんが、2028年のロサンジェルス五輪でラクロスが正式種目となる可能性があります。これをきっかけにさらにフィールドラクロスもインドアラクロスもジュニアのラクロスも普及するといいですね。
課題としては、小学生と大学生はラクロスができる環境がありますが、中高生がラクロスを取り組む環境があまりないところです。その点もいずれ頑張りたいと思っています。特に、ラクロスができる環境(場所)が少ないので、そこもクリアしていかなければならないと考えています。

横尾英典


<協力>
東海大学体育会ラクロス部監督:渡辺太郎さん

―――インドアラクロスについてどう思われますか?

渡辺 元々、フィールドラクロスをやっていましたが、かなりハードなスポーツだと感じていて、ちゃんと時間を割かないといけません。大学の指導者をやりながらもプレーはしたいという思いもありました。そんな中、夏と冬にインドアラクロスの大会に参加したのがきっかけでやっています。防具を付けないことで小さな子供からハードなコンタクトが難しい年齢まで生涯スポーツとしての可能性を秘めていると感じています。大学からラクロスを始めるケースが多いのですが、始めたての選手が怪我せずラクロスができる環境作りもいいと思っていまして、私のチームの1年生はインドアラクロスのボールを使ってミニゲームしたりしています。



―――インドアラクロスボールの開発は画期的でしたか?

渡辺 ソフトラクロスというのは確かにありましたが、ボールが軽かったりするので本当のラクロスボールを投げるのとは乖離していて、実際に防具を付けないですみますし、インドアラクロスのボールは実際のラクロスと違わない感覚で行うことができまし、防具を付けずに安全に行うことができます。その点が、非常に魅力的だと感じています。特に、競技性と安全性を兼ね備えたものはないと感じていますね。



<インドアラクロス>
フットサル場で5人対5人、クッション性のあるボールを使用し、男子も基本的に防具無しで行うボールゲームのラクロス。
スピーディーな展開と外側のラインが無い為、チャレンジングなプレーができるのが特徴。

インドアラクロスHP:https://japanindoorlacrosse.com

横尾英典



横尾英典(よこお ひでのり)・・・東京インドアラクロス、Tokyo Indoor Lacrosse(TIL)、Lacrosse Academy Japan
<ラクロス歴>
日本体育大学男子ラクロス出身〜バレンティア(クラブチーム)1999-2001全日本選手権優勝
1998年 日本代表、アメリカ世界大会出場
1998-1999年 日本体育大学ヘッドコーチ)(1999年 全日本選手権出場)