運動パフォーマンスを高める食事とは? 運動前の糖質摂取について、詳しく解説!

スポーツパフォーマンスを高めるためには、適切なトレーニングに加えて、栄養補給が重要になります。皆さんは、食事に対してどの程度意識していますか?運動の主なエネルギー源となる糖質を、いつ、どのくらい摂取するか、が運動パフォーマンスに影響を与える可能性があります。そこで本記事では、「運動前の糖質補給」について解説します。

糖質を摂取する理由

糖質(炭水化物)は、トレーニングの主なエネルギー源となります。

素早くエネルギーとなる糖質の貯蔵量は約400 gであり、脂質ほど多くありません(1)。

そのため、食事からエネルギー源を摂取する必要があります。

また、長時間の持久的な高強度運動は、糖質の利用可能性を高くすることでパフォーマンスが向上する一方で、糖質の貯蔵量が枯渇すると、トレーニング効率の低下、技能・集中力の低下、疲労が増大することが報告されています(2)。

アスリートの糖質必要量

2016年に発表されたアメリカスポーツ医学会(ACSM)のガイドラインでは、アスリートの1日における糖質必要量を以下のように定め、推奨しています(2)。

・低強度または基本的運動:3~5 g/kg/day

・中強度運動(例, ~1時間/日):5~7 g/kg/day

・持久的運動(例, 1~3時間/日):6~10 g/kg/day

・高強度運動(例, 4~5時間/日):8~12 g/kg/day

つまり、仮に体重50 kgの人が1日に1~3時間の運動を実施する場合、300~350 g/日の糖質を摂取することが推奨されています。

運動前におすすめな糖質

では、実際に運動前に糖質を摂取する際、どのような糖質を摂取することが良いのでしょうか。

これは、運動の開始時間を考慮して、タイミングごとに内容を変化させる必要があるといえます。

運動の2~3時間前に糖質を摂取する場合は、和定食などの主食・主菜・副菜のバランスが取れた食事を摂取することが良いでしょう。

運動開始1~2時間前に糖質を摂取する場合は、運動中に消化不良となる事を防ぐために、おにぎりやうどん、脂質の少ないパン、カステラ等を摂取することが推奨されています。

運動開始30分前に糖質を摂取する場合は、すぐに消化できてエネルギー効率が良く、糖質を含む食品として、バナナやゼリー飲料を摂取するとよいです(3)。

糖質を摂取する際の注意点

これまで、運動前の糖質摂取の重要性について述べてきましたが、糖質を摂取する際の注意点が挙げられます。

まず、糖質を取る際にパンやパスタなどを選択した場合、デニッシュや油が多く使われたクリーム系のパスタは、脂質が多く含まれるため、運動中に気分を悪くしてしまう可能性があるので、食品選択には注意が必要です。

また、運動直前に糖質を摂取した場合、インスリンの分泌により糖が取り込まれますが、それと同時に骨格筋の活動に伴う筋肉への糖の取り込みが行われるため、一過性の低血糖(運動誘発性低血糖)を引き起こす可能性があります。低血糖状態では、頭痛、吐き気、かすみ目、めまいなどが現れ、パフォーマンスが低下(4)しますので、注意が必要です。

運動時には、適正量の糖質を適切なタイミングで摂取し、パフォーマンス向上につなげましょう。

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参考文献

1.Wasserman DH. Am J Physiol Endocrinol Metab. 2009; 296(1): E11-E21.

2.Thomas DT et al, Med Sci Sports Exerc. 2016; 48(3): 543-568.

3.日本スポーツ協会「アスリートの栄養摂取と食生活」2013.

4.Porter JW et al. Frontiers in endocrinology. 2020; 11: 578.